伝統的工芸品とは

伝統工芸品と伝統”的”工芸品の違いは何?



伝統工芸品は長年受け継がれている技術や技法を用いて作られた広い範囲の工芸品のこと。一方、伝統”的”工芸品は法律に基き、経済産業大臣が認定した物のみで下記の5つの条件を満たすものをいいます
「伝統的工芸品」とは経済産業省のHPで以下に定義されています。
- 主として日常生活の用に供されるもの
- その製造過程の主要部分が手工業的
- 伝統的な技術又は技法により製造されるもの
- 伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるもの
- 一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、又はその製造に従事しているもの
上記5つの項目を全て満たし、伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づく経済産業大臣の指定を受けた工芸品のことです。(引用:経済産業省HP)
いくつあるの?伝統的工芸品は243品目
現時点で伝統的工芸品は243品目あります(令和6年10月17日時点)
(引用:経済産業省HP)
伝統マーク


伝統マークはちょいちょい模試や試験にでてるので要チェックです
伝統マークは、経済産業大臣指定伝統的工芸品のシンボルマークです。
経済産業大臣が指定した技術・技法・原材料で制作され、産地検査に合格した製品には、伝統マークのデザインを使った「伝統証紙」が貼られています。この伝統証紙が貼られている製品は、検査を実施したものであり、品質について誇りと責任をもってお届けする製品です。
(引用:伝統的工芸品産業振興協会)
どんな工芸品があるの?
たくさんあるなかでわかりやすいものを以下の9つのグループ分けしてみました。
- 陶磁器(これがとても厄介なのでここから抑える)
- 漆器
- 織物
- 染物
- 和紙
- 木工品
- 金工品
- 文具
- その他
中学受験で必ず出題される伝統工芸品ですが、特に覚えにくいのは①陶磁器の種類。これ本当に覚えにくいですよね。そりゃ白黒写真で特色の説明がかかれても無理無理、全然ピンとこないです。
とりあえずカラー写真で確認しようと伝統的工芸品を検索しても、出てくるのは国宝級のキラキラしたものが検索上位にででてきがちで、中学受験で問われる伝統的工芸品の定義の「日常的に使われるもの」とかけ離れていて、陶磁器の種類の実際の特徴と異なってしまっていることが問題で、よほど興味がない限り曖昧なままで放置しまっていることはあるあるだと思います。
一楽二萩三唐津
昔から茶人が好む焼き物の格付けとして「一楽二萩三唐津(いちらく にはぎ さんからつ)」という言葉があります。こちらは以下の地域で作られた焼き物でお茶碗のことになります。
- 楽焼 (京都)
- 萩焼 (山口県萩市)
- 唐津焼 (佐賀県唐津市)
楽焼(京都)


楽焼とは、あえて轆轤(ろくろ)使わないで手をヘラだけでこねてつくるいわゆる手捏ね(てづくね)で成形をして低火度で焼いた陶器で特徴は厚みがあってちょっとボコボコしてます。
陶工職人だった樂家の長次郎が千利休に教わりながら作った茶碗が楽焼の始まりといわれてます。



楽焼の名称については豊臣秀吉の聚楽第から「楽」を家号にしたことから楽焼となったという説が広く知られるよ



豊臣秀吉が朝鮮出兵してきたときに腕のいい陶工を日本に連れてきたことが後の日本の伝統的工芸品につながっていくんだね



秀吉と千利休がでてきたらゴツめの茶碗の楽焼デス
萩焼(山口県萩市)


萩焼は、釉薬(ゆうやく=うわぐすりとも言います)が薄く使われていて表面にガラス質の膜ができてツルツルしてます。あと、ヘラをつかっているので横にヘラの線がかかれているものが多いです。
形状は、すり鉢のような井戸形の茶碗が多く、図柄もかかれていません。
大道土の色を生かしているので上記の写真のように肌色からビワの様な明るい色合いだったり、使う土によって褐色(暗い赤色)や灰青色や白色などの物もあります。
唐津焼(佐賀県唐津市)


土っぽく素朴、絵柄があるのが多い
唐津焼は、ざっくりとした粗い土を使い素朴で土を感じさせるいわゆる「つちもの」と呼ばれる。また、多彩な装飾技法から茶陶器以外も多く、花や鳥、そして草木などの絵が描かれている絵唐津というものもあります。
実際にα1のママ友のお宅はどう覚えてるのか?
伝統的工芸品の勉強をみていて思い出したのは、大学受験のときの文学作品や美術品などの単純暗記。しかも、こういうのに限って出題されがちなんですよね。伝統的工芸品も必ず出題されるじゃないですか。単純記憶だと記憶の紐づけのきっかけが弱いので長期記憶にもっていくのも大変なうえに、受験が終わるとすぐ忘れちゃうという。
なので、これα1のお友達のお宅ではどうやって勉強してるのか聞いてみたら、
「伝統的工芸品を生活で使っていて自然と覚える機会が多かった」
みたいなことをタワマン界隈の中受ママ友(複数人)が教えてくれました。
そうか、実際の生活で使っているのっていいですよね。食事のときの会話で「有田焼のお皿とって」とかできますしね。確かに品のよいお友達のお宅に行くと普通に古伊万里の大皿でお料理がでてきたの思い出しました。



漆のお重や古伊万里の大皿なんて憧れですよね



(現実)結婚したときにニトリで買ったお皿がありがたいことに丈夫、パン祭り皿もこれまた丈夫、買い替えタイミングみつからず(強い
なので、ウチも真似してみようということで、早速、上野で大陶器市がやっていたので善は急げです。トライアスロン用の80Lくらいあるバカでかいリュックを背負って買い付けへGO!


大陶器市というイベントが上野でやっていました
行商かなといういで立ちで初めての陶器市、いろいろ買ってみました。すごい楽しいです!


美濃焼、有田焼、唐津焼を購入しました、散財



ヤマザキ春のパン祭り生活からステップアップ(笑)、憧れの伝統的工芸品生活をスタートです
三大陶磁器の美濃焼(岐阜)・瀬戸焼(愛知)・有田焼(佐賀)


JTOPIAさんのサイトの地図がとてもわかりやすかったです。
(画像引用:JTOPIA https://www.jtopia.co.jp/)
次は三大陶磁器といわれている焼き物をまとめてみました。
- 瀬戸焼(愛知)
- 美濃焼(岐阜)
- 有田焼(佐賀)



ちなみに陶器と磁器の違いってなに?



材料の違い。陶器は「土」で粘土にガラス成分を混ぜたもの。磁器は「石」を粉砕した石粉が材料だよ
瀬戸焼(愛知)
瀬戸焼とは、愛知県瀬戸市周辺で生産される陶磁器で、戦後に「より多く、より安く」をモットーに発展した、いわゆる「セトモノ」と呼ばれる焼き物の代表格です。


瀬戸焼ははじめて釉薬(ゆうやく)というガラス質の薄い膜が使用されたとしても知られ、全国的に親しまれています。メジャーなので問題にはなりにくい一面があります
美濃焼(岐阜)
美濃焼は岐阜県の東濃地方の一部で生産されている焼き物です。瀬戸焼の産地と隣接していることから瀬戸焼と特徴が似ています。また、決まったデザインがなく、生産量は日本一となります。


魚介類載せたくなる大皿ですね
有田焼・伊万里焼(佐賀県有田町)
有田焼と伊万里焼は両方、名前は聞いたことがあるけれどそれぞれの違いまではよくわからない、という方が多いのではないでしょうか。こちら有田焼とは佐賀県の有田町周辺で作られる日本最古の磁器といわれています。


有田焼は透明感のある白磁に青色で配色しているものや赤色で華やかに配色しているものなどがあり、ドイツで生産されている西洋磁器の最高峰であるマイセンは有田焼に強い影響を受けていると言われています。


ドイツのマイセン。確かに透明な白磁に青色の配色の有田焼と似ていますね


ちなみに↑の写真は伊万里焼ですが伊万里焼って濃い青に赤の配色のイメージ強いですよね
なお、有田には港がなかったため、海外に輸出する際に最寄りの伊万里港から出荷していたことから「伊万里(焼)」とも呼ばれるようになったことが伊万里焼の始まりといわれています。また、現在では作った時期で明治時代より前につくられたものを「伊万里」、100年以上経ったもの「古伊万里」とし、明治時代以降に作られたものを「有田焼」として区別して広まっているとされています。


過去の難関私立中で佐賀の港から出荷した陶磁器がどこの産地であるか類推させる問題ありましたね。なので必ず地図を使い、その時代の物流経路の整理など直前期重要といえます。
まとめ
楽焼、萩焼、唐津焼の茶碗はお茶をたてることが現代の生活にないので身近に感じませんでしたが、三大陶磁器は「あれ、ウチで使ってるの瀬戸焼だったね」と改めて見てみると、個々のご家庭の日常生活で活躍している陶器あるのかなという印象があります。
中学受験がきっかけでさぴ猫家では、陶磁器、木工品をはじめとした伝統的工芸品を使う様になりました。うっかりお節難民になってしまったのですが、今年はヒノキのお重を買ってさぴ猫ママと娘で好きなお節と気になる地域のお雑煮を作っていました
日常生活に昔から日本人が使っていた伝統的工芸品や伝統工芸品が身近にあるということは教育としても非常によいものだなと感じました。これは中学受験の地獄の直前期には想像もつかないことでした。
次の目標は織物や染物の伝統的工芸品を手に入れることです!がんばらなければ!
コメント
コメント一覧 (2件)
[…] 【伝統的工芸品】陶磁器の最強の覚え方は日常生活で使うこと 伝統的工芸品とは 伝統工芸品と伝統"的"工芸品の違いは何? […]
[…] […]