時短学習のポイント
日本の米作の特徴は他の国とは異なり独特であることを押さえる
実は日本の米作が盛んな地域は特殊なのです。まずは原則を覚えその後に日本は他の米作が盛んな国と何が違うのかを押さえることで効率よく記憶の定着が図れます。
<米作が盛んな地域の特徴>
・稲は熱帯性の作物
・夏に気温が高い
・降水量が多い
◇日本で米作が盛んな理由
ヨーロッパと比べて日本は雨が多く温暖な気候なため。約3000年前の縄文時代後期には稲作が中国大陸から伝わってきており、邪馬台国の時代からずっと日本人の生活を支える主食となっています。
ここで頭の体操をしてみましょう。
稲は熱帯性の作物であるにもかかわらずなぜ日本では寒い地方で米作が盛んになったのか?
ここで稲の特徴を考えると稲は熱帯性の作物だからより暖かい四国や九州で盛んになるのがセオリーになるのですが日本における都道府県別の米の生産高ランキングの上位5位をみてみると新潟県、北海道、秋田県、山形県、宮城県と東北地方や北陸地方に集中しています。これら米作の盛んな地帯を日本の穀倉地帯と呼んでいます。
都道府県別の米の生産高のランキングは農林水産省「令和2年産水陸稲の収穫量」によると、
都道府県 生産量 割合
1位 新潟県 666,800t 8.59%
2位 北海道 594,400t 7.66%
3位 秋田県 527,400t 6.79%
4位 山形県 402,400t 5.18%
5位 宮城県 377,000t 4.86%
上記の上位5位の共通項を考える。
1つは「東日本」であること、2つ目は5位の宮城県以外は全部「日本海に面している」こと。
東日本の日本海側の気候の特徴
・夏は晴天
・冬の降雪量が多い
上記の夏場の晴天は、稲自体が夏場の日光や暑さで成長をするため米作りを行う上でとても重要なポイントになります。次に米作りに必要不可欠なのが大量の水ですが、日本海側に面する東北地方・北陸地方は平野のすぐ近くに山脈があります。冬の東北地方や北陸地方は降雪量が多いため農業はできませんが、その代わりに豊富な雪解け水が春から夏にかけて少しづつ解け下流の平野に米つくりに十分すぎるほどの水を運び出します。夏が暑くて晴天が続く東日本の日本海側の気候に豊かな雪解け水があれば稲は力強く育っていきますよね。あと米作りには広い平野がかかせませんが日本海側に面する北陸地方・東北地方には広い平野があります。
~主な米の産地(平野)~
<北海道地方>
石狩平野(石狩川)・・・客土、暗渠排水
上川盆地(石狩川)
<東北地方>
八郎潟干拓地・・・かつて日本で2番目に大きい湖
秋田平野(雄物川:おものがわ)・・・上流に横手盆地
内平野(最上川)・・・流域に新庄盆地
仙台平野(北上川、阿武隈川)・・・やませによる冷害
群山盆地・・・猪苗代湖から安積疏水(あさかそすい)
<北陸地方>
越後平野(信濃川)・・・大河津分水路、暗渠排水
富山県は水田率1位
<その他の地方>
水郷地帯(利根川)・・・早場米
讃岐平野・・・ため池、吉野川からの香川用水
筑紫平野(筑後川)・・・クリーク、二毛作
ここであと1つ条件がわかると日本の寒い地方で熱帯性の作物である稲の米作が盛んになっている理由がわかります。それは以下になります。
<品種改良>
何十年もの時間をかけて寒い地域でも育成できる強いお米の品種を作り出しました。
EX) コシヒカリ、ゆめぴりか、あきたこまち、はえぬき、ひとめぼれ等
コメの生産量が多い都道府県
主な品種
新潟県 コシヒカリ、ゆきん子舞
北海道 ななつぼし、ゆめぴりか
秋田県 あきたこまち、めんこいな
山形県 はえぬき、つや姫
宮城県 ひとめぼれ、ササニシキ
それでも時間をかけて品種改良しないで四国や九州で米作をした方がよさそうでは?
日本は日本海側の面する北陸地方や東北地方で米作するより、四国や九州などの暖かい地域で米作をした方がコストがかからず早いはずだから四国や九州が日本の穀倉地帯となってもいいはずと思う方も多いと思います。そうでない理由はシンプルで四国や九州はいろいろな農作物を作ることができる温暖な気候なので、日本のどこでも作れる米ではなく温暖な気候を活かしより高く売れる「夏野菜の促成栽培」に力を注ぐ農家さんが多いのは至極当然のことだと思います。この高く売れる理由が農家が何を育てれば一番儲かるか?というシンプルな考え方につながりますので都心近くの米作りに適した広い平野の関東平野では米作が中心というよりはキャベツや白菜などの葉物、いちご、ピーマンなどの近郊農業や抑制栽培が盛となります。
日本が寒い地方でも米作が盛んな理由は、品種改良により寒さに強い品種が生まれ、東日本の日本海側に面する北陸地方・東北地方の気候が稲の育成に合っていたこと